icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻6号

1977年12月発行

文献概要

特集 青斑核 総説

ラット青斑核ニューロンの電気生理学的研究

著者: 中村彰治1

所属機関: 1大阪大学医学部高次神経研究施設神経生理学

ページ範囲:P.432 - P.438

文献購入ページに移動
 本実験で用いた動物はウレタン麻酔のラットである。
 ①LCニューロンの上行性経路である中脳背側路を逆向性に刺激すると,LCに限定して頂点潜時5.7〜6msec,振幅1〜1.5mVの陰性の集合電位があらわれる。単一LCニューロンの放電は,集合電位に重畳して記録される。
 ②LCニューロンの逆向性スパイク放電においては,AスパイクとBスパイクの後にしばしば第三のスパイク成分(Cスパイク)が観察された。Cスパイクは逆向性反応だけでなく自然発火においてもみられた。
 ③逆向性スパイクは,ときに特徴的な長いA-B遅延を示すことがあった。同様なA-B遅延は,中脳背側路を二発刺激(刺激間隔は約10msec)したときに,試験反応のスパイクでもみられた。長いA-B遅延の生じる原因として,LCニューロンの反回性抑制と促通の存在が推測される。LCニューロンの軸索の伝導速度は,0.3〜1.4m/秒で平均0.69m/秒である。
 ④LCニューロンは,大脳皮質前頭野,大脳皮質視覚野,海馬,小脳のどれか一つ,あるいは,これらのうち二つ以上から逆向性反応を示した。LCニューロンの約70%が大脳皮質前頭野へ投射していることが判明した。1個のニューロンで,大脳皮質,海馬,小脳皮質の三つの皮質へ同時に投射しているものもある。
 ⑤LCニューロンには,体性感覚,視覚,聴覚などの末梢感覚神経から入力の収束があることがわかった。ニューロンの投射部位からも稀に入力を受ける。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?