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文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻6号

1977年12月発行

文献概要

特集 青斑核 総説

青斑核の薬理学的研究

著者: 高折修二1 笹征史1

所属機関: 1京都大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.439 - P.446

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 はじめに
 青斑核(Locus coeruleus)は橋背側部にあって,古くは銃質(Substantia ferruginea)といわれた。ヒトおよびサルではmelanin顆粒を多く含む,青黒色を示す神経細胞の集団であり,比較的容易にその範囲を知ることができるが,その他の動物では色素顆粒をほとんど含まない。類人猿より有袋類に至る28種類の哺乳動物の青斑核について,比較解剖を詳細に行ったのは,東大解剖の佐野1)である。彼はPalkarminおよびNissl法を用い,細胞の大きさ,形状および主核からの連続性などにより青斑核を,主として中心灰白質にあるもの,大部分が網様体の領域にあるもの,およびその両者にまたがるものの3型に分けた。しかし,これらが現在いう青斑核細胞群の範囲と完全に一致するか否かは不明である。
 青斑核の機能的役割については昔から諸説があった。咀嚼運動に関係があるとするもの,木登りや飛跳などの特殊な運動と関係があるというもの,高位の呼吸中枢であろうと考えるもの,または三叉神経知覚系との関係をのべたものなどである。また,Parkinson病において青斑核にも変性像を認めることから,錐体外路系の一部であろうという説もあった。しかし,これらの考えはその当時では,いずれも推測の城を出なかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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