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膜興奮とタンパク質
著者: 吉岡亨1
所属機関: 1横浜市立大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.447 - P.457
文献購入ページに移動まず題名についてお断わりしておきたい。ここでいうところのタンパク質とは,興奮性膜の内に存在すると思われるチャネルタンパクとか,あるいは,おそらくタンパク分子であろうと想像されているgating particlcなどを指すのではなくして,興奮性膜の内側,または外側にあって,興奮現象に何らかの係り合いをもっていると思われているタンパク質のことである。このようなタンパク質の研究を行う際にもイカの巨大神経はやはり最も適当で得難い材料であることは間違いない。そこでこの小文では,イカの巨大神経を用いて行われているタンパク質研究の現況を御紹介してみたい。
内容の大半はごく最近に得られたものばかりなので,もしかしたらこの数年間に生き残れるようなしっかりしたデータは一つもないかもしれない。あるいは内容的に偏っているかもしれない。それにも拘わらず,あえてこの一文を草するに到ったのは,もはやわれわれ生理学関係者だけでは興奮現象の理解が限界にきていることを他の分野の方々に知っていただき,協力を仰ぎたいからに他ならない。
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