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文献詳細

雑誌文献

生体の科学28巻6号

1977年12月発行

文献概要

研究のあゆみ

神経系の継ぎ目:シナプスの研究の回顧

著者: 内薗耕二1

所属機関: 1東京大学,生理学研究所

ページ範囲:P.465 - P.471

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 Ⅰ.興奮伝導の研究から興奮伝達の研究へ
 私どもが終戦直後に研究室へ復帰したころ(昭和22年頃)の世界の神経研究の主流は興奮伝導の問題であった。たとえば体外に取り出された神経線維の興奮がどのようなメカニズムによって伝導されるかということが主たる関心事であった。この方面では日本の研究者が世界の研究者に伍して全く遜色のない研究を展開していた。とくに大きな神経幹の無数の神経線維の中から1本だけを無傷に取り出すというミクロの手術にかけては,日本人研究者の中に天才肌の人があって,世界的な注目を浴びていた。その中でひときわ目立つ存在は,当時目白にあった徳川研究所の田崎一二博士であった。同氏のまわりに戦争帰りの若い研究者たちがたむろしていた。
 一方ではケンブリッジにイカの巨大神経線維を利用するグループがあって,このほうは天然に存在する単一線維を用いるという独自の研究方法を展開していた。巨大線維は体内ですでに単一線維として存在する神経であるから,とくに天才的なミクロの手術など必要としないわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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