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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻1号

1978年02月発行

文献概要

特集 膜脂質の再検討 総説

脂質の物理的状態と膜の機能

著者: 池上明1

所属機関: 1東京大学理学部物理学科

ページ範囲:P.38 - P.45

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 はじめに
 生体膜の構造状態を最もよく反映していると信じられているモデルとしてfluid mosaic modelがある。膜中でリン脂質は,疎水的な炭化水素鎖を内側にし,親水的なリン酸部分を外側にして二次元的に並び,二重層を形成する。そしてこの二重層膜に種々の機能をもったタンパク質がモザイク状に溶けこんだり,表面に吸着したりしている。脂質部分は液体的かつ液晶的で流動性に富み,しかも秩序構造形成的である。すなわち脂質二重層の構造は種々の外部条件で微妙に変化し外部からの刺激に応答するという膜の機能にふさわしい構造体といえよう。膜の機能の主要な部分はいうまでもなく機能タンパク質によっているが,この機能タンパク質が,このような脂質二重層膜の中に入り込んでいる点が重要である。
 タンパク質の高次構造や集合状態はその環境である二重層膜の物理的状態に左右され,それによってタンパク質の機能が変化するからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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