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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻1号

1978年02月発行

文献概要

講義

神経系の可塑性の解剖学的な証拠について

著者:

所属機関: 1

ページ範囲:P.47 - P.54

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 私がロンドンの国立医学研究所の神経生物学研究室で行っている解剖学的研究のいくつかについてお話したいと思います。まず私どものおおまかな興味についてお話ししてから2〜3の個々の仕事の主要な点について説明するつもりです。私どもの興味はシナプス結合の形成をコントロールする要因にあり,シナプス結合を研究する方法は主に電子顕微鏡を用いた解剖学的方法によります。
 初めに私が常日頃興味をもっているある科学的問題に触れることにします。これは一つの知的なパズルに似たようなものです。昔の解剖学者達が中枢神経系の構成に関する詳細な地図を作るために日夜努力をしてくれたために結合,経路,構成に関する膨大な文献があります。中枢神経系の構成を調べる理由は,神経系の構造と,その構成のパターンが,その機能から必然的に生ずるものであるからです。構造は神経系の機能の基本であります。とくにヒトや高等動物の神経系の最も重要な機能の一つは,各個体をその環境に適応させるような行動のパターンを作ることです。ですから神経系の機能の最も重要な要素として,行動を異った状況に適応させる能力を含んでいます。われわれの脳の機能に関しては適応ということ以上に重要なことはおそらくないと思います。そしてこのことは人類が環境に適応することに成功した重要な要因です。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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