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解説
イオノフォア
著者: 平田肇1
所属機関: 1自治医科大学生化学教室
ページ範囲:P.55 - P.63
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抗生物質として知られている化合物のなかで,生体膜に直接作用して,そのイオン透過能を高める働きをもつものを総称してイオノフォア(ionophores)と呼んでいる。この名称はPressmanら1)によって命名されたものであるが,Ovchinnikovら2)は,コンプレクソン(complexones)と呼んでいる。前者は,イオンを運ぶものという機能的な側面を強調し,後者は,イオンと複合体をつくるという構造上の内容を含んでいる。
生体膜の構造と機能については,これまで数多くの文献や総説があるので,ここであらためて述べる必要もないが,細胞の数多くの生命現象を司る場として重要であると同時に,種々のイオンや,極性物質に対する障壁としての役割は,細胞の内部環境を外界から隔離するという意味において最も重要で,基本的な機能であるといえよう。その構造については,これまでいくつかの仮説をもとに議論が行われたが,現在,最も広く認められているモデルは,SingerとNicolson3)らが提唱したものでリン脂質二重層が基本構造であって,その中に,種々のタンパク質が,さまざまな形態で存在しているというものである。このリン脂質二重層は,電気伝導度は非常に低く,10-8〜10-9mhos・cm-2のオーダーである。これは,2分子のリン脂質分子の脂肪酸残基が互いに向きあって一つの疎水性の層を作っているためである。
抗生物質として知られている化合物のなかで,生体膜に直接作用して,そのイオン透過能を高める働きをもつものを総称してイオノフォア(ionophores)と呼んでいる。この名称はPressmanら1)によって命名されたものであるが,Ovchinnikovら2)は,コンプレクソン(complexones)と呼んでいる。前者は,イオンを運ぶものという機能的な側面を強調し,後者は,イオンと複合体をつくるという構造上の内容を含んでいる。
生体膜の構造と機能については,これまで数多くの文献や総説があるので,ここであらためて述べる必要もないが,細胞の数多くの生命現象を司る場として重要であると同時に,種々のイオンや,極性物質に対する障壁としての役割は,細胞の内部環境を外界から隔離するという意味において最も重要で,基本的な機能であるといえよう。その構造については,これまでいくつかの仮説をもとに議論が行われたが,現在,最も広く認められているモデルは,SingerとNicolson3)らが提唱したものでリン脂質二重層が基本構造であって,その中に,種々のタンパク質が,さまざまな形態で存在しているというものである。このリン脂質二重層は,電気伝導度は非常に低く,10-8〜10-9mhos・cm-2のオーダーである。これは,2分子のリン脂質分子の脂肪酸残基が互いに向きあって一つの疎水性の層を作っているためである。
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