文献詳細
特集 腎機能
総説
文献概要
はじめに
腎機能のうち,尿生成能,とくにNa, Kの再吸収について述べる。NaとKに注目したのは,成人1日当りのNa再吸収量が約600gにも及ぶことと,細胞内外のK濃度差が細胞膜電位に著しい影響を与えること,それから,Naの能動輸送はKと共役して行われることなどの理由による。
腎の糸球体瀘液と血漿の限外瀘液は同一であるから,糸球体での瀘過は単純な限外瀘過と考えてよい。その瀘過膜は,細胞間隙—基底膜に存在するはずだが,実体については現在不明であり,この点に積極的に迫る生化学的手段も乏しいので,当分の間は基底膜や,細胞表面の化学構造の分析など,基礎的研究成果の蓄積を待つほかない。免疫学的手段による糸球体の研究が活発なので,この分野からなんらかの手がかりが得られるかも知れない。糸球体については腎炎の病理,人工透析術など,臨床医学と密接に関係する研究課題だが省略する。
腎機能のうち,尿生成能,とくにNa, Kの再吸収について述べる。NaとKに注目したのは,成人1日当りのNa再吸収量が約600gにも及ぶことと,細胞内外のK濃度差が細胞膜電位に著しい影響を与えること,それから,Naの能動輸送はKと共役して行われることなどの理由による。
腎の糸球体瀘液と血漿の限外瀘液は同一であるから,糸球体での瀘過は単純な限外瀘過と考えてよい。その瀘過膜は,細胞間隙—基底膜に存在するはずだが,実体については現在不明であり,この点に積極的に迫る生化学的手段も乏しいので,当分の間は基底膜や,細胞表面の化学構造の分析など,基礎的研究成果の蓄積を待つほかない。免疫学的手段による糸球体の研究が活発なので,この分野からなんらかの手がかりが得られるかも知れない。糸球体については腎炎の病理,人工透析術など,臨床医学と密接に関係する研究課題だが省略する。
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