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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻2号

1978年04月発行

文献概要

実験講座

電子顕微鏡オートラジオグラフィーの実際

著者: 広沢一成1

所属機関: 1東京大学医科学研究所微細形態学研究部

ページ範囲:P.144 - P.151

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 オートラジオグラフィー(autoradiography,以下ARGと略す)とは放射性同位元素(radioisotope, RI)のβ崩壊または電子捕獲に伴うβ線のエネルギーを写真学的に検出する方法である。したがって,RI標識物質が生体内に取り込まれ,合成,代謝される過程を形態との関連で同定できることがARGの特徴である。元来,RIの検出にはシンチレーションカウンターなどの検出器を用いるほうが精度は高く,かつ,定量的であるが,ARGによる検出は,①組織・細胞内に存在するRIを視覚的に捉え得る唯一の方法であり,
 ②同一構造内での標識物質の移動を知ることができ,
 ③特定の細胞を標識する手段として用い得る。
 などの特徴をもつ。これらの特徴によりARGは他の手段では得ることのできない情報を細胞生物学に提供してきた。
 ARGという現象はRIの発見される以前から知られていたが,科学的に利用がはじまったのはRIの発見,原子核乳剤の開発など関連分野の進歩を経たのちである。第二次大戦時のRI開発および写真技術の進歩はARGを生物学の分野へ本格的に応用するきっかけとなった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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