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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻3号

1978年06月発行

文献概要

解説

下等動物の生物時計

著者: 青木清1

所属機関: 1上智大学生命科学研究所

ページ範囲:P.203 - P.211

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 はじめに
 生物時計がわれわれの体内にあることを知るのは,われわれが今日,周期の異る他の環境に急に移ったとき,自分の体内に起るどうしても制御しがたい生理的な混乱の体験をもったときである。つまりジェット機によって東京から一気にニューヨークに飛ぶ,あるいは日中の仕事から夜勤にかわったとき,生理的な混乱が起ることである。この混乱にかかわる日周性体内時計とはどんなものであろうか。最近その体内時計に関して,また広くはリズムに関する神経機構を解明せんと生物学者達の眼が注がれだした。体内時計は初めに述べたように誰しも体験することから,その現象には興味をもつのであるが,いざ自然科学的に研究の主題として取り上げるとなると,いかようにその機構解明を試みるかという困難さを感じ,手をこまねいていたというのが実情であった。一方,最近の流行であるかもしれないが,生物学の内で行動生物学が一つの主要な流れとなってきた今日,生物時計も重要なテーマとなってきた。また行動生物学の分野での,たとえばわれわれが行った魚の偏光視覚における行動生理学的実験においても,魚のもつ体内時計を無視することなく行えるものではなかった1,2)。それは魚が偏光によって学習づけられるという実験で,偏光の方向と自分の体内時計をあわせて覚えるということである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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