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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻3号

1978年06月発行

文献概要

実験講座

軸索流の新しい測定法

著者: 竹中敏文1 堀江秀典1 杉田徹2

所属機関: 1横浜市立大学医学部第一生理学教室 2東芝総合研究所電子部品研究所

ページ範囲:P.212 - P.216

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 軸索の維持,更新または伸展などに必要とされる物質は,主として細胞体で合成され,軸索内を移動すると考えられている。このような軸索内の物質の輸送を軸索輸送という1)。軸索輸送を測定するには,顕微鏡でみえるような顆粒であれば光顕で測定できるが2),タンパク質のように小さなものは放射線同位元素で標識して,それを計測するのが普通である3)。たとえば脊髄神経節に少量の3H-ロイシンを注入する。これらのアミノ酸は細胞体に取り込まれ,タンパク質に合成された後,軸索内を輸送される。それゆえ,注入後所定の時間後に後根や坐骨神経を2〜5mm間隔で細分し,各画分について含まれている放射能を測定し輸送物質がどこまで進んでいるか,どのような分布をしているかなどを研究する。しかし,こういった方法だと1本の神経束で一つの分布だけしか得られず,動的な情報は全く得られない。軸索輸送は生理的現象なので,どうしてもその動的なものを研究しなければならない。そこでわれわは小さな半導体放射線検出器を直接神経にあてて,軸索輸送を生理的条件下で測定しうる方法を案出した4)。この方法を用いると軸索流の動的な動きを1本の神経束で追従することができるので軸索輸送の研究にとって非常に有力な手法となる。この実験講座では,まず半導体放射線検出器について解説し,つぎにそれを実験に用いた応用例について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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