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文献概要
特集 中枢のペプチド 総説
ペプチド性伝達物質研究の現状
著者: 金澤一郎1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系神経内科
ページ範囲:P.246 - P.255
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10年程前から内分泌学の進歩の帰結としてペプチドホルモンの純化の努力が実を結びはじめていた。その当時,神経科学の分野に顔を出していたペプチドはsub-stance Pだけであったといっても過言ではない。その後数年の間に,そのsubstance Pが神経伝達物質として着実にその地位を確保してきたのには,大塚を中心とする日本の研究グループの果たした役割は大きい。さらに,このsubstance Pを追って他のペプチドも,神経伝達物質の可能性を秘めて神経科学の分野につぎつぎと登場してきた結果,今日の神経ペプチド研究の隆盛をもたらしたといえよう。
本稿では,このようなペプチドのおのおのが現時点でどの程度神経伝達物質として確からしいか,いいかえれば神経伝達物質の同定基準に照らしてどこまで証拠があるかについて現状を眺めてみることにする。ここで取り上げる伝達物質の同定基準は,つぎの三点に限った。
10年程前から内分泌学の進歩の帰結としてペプチドホルモンの純化の努力が実を結びはじめていた。その当時,神経科学の分野に顔を出していたペプチドはsub-stance Pだけであったといっても過言ではない。その後数年の間に,そのsubstance Pが神経伝達物質として着実にその地位を確保してきたのには,大塚を中心とする日本の研究グループの果たした役割は大きい。さらに,このsubstance Pを追って他のペプチドも,神経伝達物質の可能性を秘めて神経科学の分野につぎつぎと登場してきた結果,今日の神経ペプチド研究の隆盛をもたらしたといえよう。
本稿では,このようなペプチドのおのおのが現時点でどの程度神経伝達物質として確からしいか,いいかえれば神経伝達物質の同定基準に照らしてどこまで証拠があるかについて現状を眺めてみることにする。ここで取り上げる伝達物質の同定基準は,つぎの三点に限った。
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