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文献概要
特集 中枢のペプチド 総説
神経ペプチドの受容体
著者: 小川紀雄1
所属機関: 1岡山大学医学部第三内科学教室
ページ範囲:P.272 - P.283
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ペプチドホルモンは一般に細胞膜に存在する受容体(receptor,以下Rと記す)に結合することにより作用を発揮し,その細胞膜Rに関しては
①ホルモン特異性がある。
②結合親和性がきわめて高い。
③結合部位数が一定である。
④標的細胞に局在する。
という各条件を満たす必要があり,また,結合は可逆的であると考えられてきた。しかし,このホルモンとRの結合は非可逆的である可能を示す成績も報告され1,2),結合能については,あるRがホルモンと結合すると,残りのRの結合能が変化するというnegative-あるいはpositive-cooperativityという現象が知られるようになり,最近ではRは形質膜の中を自由に移動しうるものと解釈されている。このようにRはもはやホルモン分子とRとの1対1の物理的な結合という過去の概念から脱却して複合反応系における現象として動的にとらえねばならなくなっている。また,ペプチドホルモンのRは組織膜表面にのみ限局するとされてきたが,最近ではLH-RH3〜6),melanotropin7),growth hormone8),prolactin,8) insulin8)およびsomatostatin9)の結合部位が細胞内あるいはcytosol分画に見出され,細胞膜Rの前駆体である可能性についても論議されている。
ペプチドホルモンは一般に細胞膜に存在する受容体(receptor,以下Rと記す)に結合することにより作用を発揮し,その細胞膜Rに関しては
①ホルモン特異性がある。
②結合親和性がきわめて高い。
③結合部位数が一定である。
④標的細胞に局在する。
という各条件を満たす必要があり,また,結合は可逆的であると考えられてきた。しかし,このホルモンとRの結合は非可逆的である可能を示す成績も報告され1,2),結合能については,あるRがホルモンと結合すると,残りのRの結合能が変化するというnegative-あるいはpositive-cooperativityという現象が知られるようになり,最近ではRは形質膜の中を自由に移動しうるものと解釈されている。このようにRはもはやホルモン分子とRとの1対1の物理的な結合という過去の概念から脱却して複合反応系における現象として動的にとらえねばならなくなっている。また,ペプチドホルモンのRは組織膜表面にのみ限局するとされてきたが,最近ではLH-RH3〜6),melanotropin7),growth hormone8),prolactin,8) insulin8)およびsomatostatin9)の結合部位が細胞内あるいはcytosol分画に見出され,細胞膜Rの前駆体である可能性についても論議されている。
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