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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻4号

1978年08月発行

文献概要

講義

免疫不全症候群,自己免疫性疾患および悪性腫瘍に伴う免疫統御細胞機能の障害

著者:

所属機関: 1

ページ範囲:P.295 - P.302

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 免疫グロブリン合成の異常を伴う原発性免疫不全症候群や自己免疫性疾患,リンパ系組織における悪性腫瘍などは,免疫応答の統御機構を洞察するためにきわめて興味ある疾患群である。なぜならば,これらの疾患の患者においては,正常な免疫応答を起すために必要な細胞の成熟,細胞間相互作用,細胞内物質合成におけるいろいろな障害のモデルを提供しているからである。図1はリンパ系細胞機能について一般的な考え方を図示したものである。
 プラズマ細胞は骨髄の造血幹細胞からさまざまの段階の分化の過程を経ることによって,最終的には免疫グロブリンを産生する細胞に分化したものである。その分化の最初の段階では,骨髄の幹細胞は,抗原刺激を必要とすることなく,いわゆるBリンパ球(B細胞)へと分化する。このB細胞は抗原,Epstein-Barr Virus(E. B. Virus),補体第3因子,抗原抗体結合物,Pokeweed Mitogen(PWM)を含む一連の植物レクチンなどに反応することが知られており,細胞膜表面の免疫グロブリンを含めた種々のレセプターを細胞表面に有するリンパ球として末梢血中に認められる。特定の抗原やPWMと,これに対応する膜表面レセプターとの間に相互作用が起ると,B細胞は細胞増殖を経て抗体分泌をするプラズマ細胞へと分化する。こうしたB細胞の成熟過程はいくつかの異った細胞集団によってきわめて精密に統御されていることが近年明らかにされつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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