文献詳細
文献概要
特集 下垂体:前葉 総説
培養前葉細胞の分化とホルモン産生
著者: 石川博1
所属機関: 1東北大学医学部第三解剖学教室
ページ範囲:P.349 - P.363
文献購入ページに移動 はじめに
生体内における下垂体前葉からのホルモンの分泌には,その上位中枢である視床下部とそのtarget organである甲状腺・性腺・副腎などの間,あるいは前葉内各ホルモン産生細胞の間で種々のfeedback systemが関与していてこれをregulateしている。一般に前葉からは6種類のホルモンが分泌されるのであるから,その分泌機構を研究するにはin vivoでは大変複雑になってしまう。このような複雑さに対して,in vitro systemはそれぞれの反応を簡単明瞭に検討できるという点で存在する理由があるように思われる。
しかしこのような利点のある反面,in vitroで起った反応が,果たして生体内でも起り得るかどうかについて,一沫の不安があることはいなめない。いままでのところ,ホルモン分泌に関する研究には下垂体腫瘍から樹立されたGH1(1),GH3(2),AtT20(3)がよく使用されてきたが,これらは正常細胞と異り,腫瘍細胞であるという点で,正常下垂体前葉ホルモンの産生・分泌を検討するうえに多少不満な点がある。この不利な点を考え,一般に正常前葉細胞を消化酵素を用いて解離して得た細胞(primary culture)を上記研究に用いているが,これも実験期間がちょうどcell degenerationの過程にあるという点で不満がある。
生体内における下垂体前葉からのホルモンの分泌には,その上位中枢である視床下部とそのtarget organである甲状腺・性腺・副腎などの間,あるいは前葉内各ホルモン産生細胞の間で種々のfeedback systemが関与していてこれをregulateしている。一般に前葉からは6種類のホルモンが分泌されるのであるから,その分泌機構を研究するにはin vivoでは大変複雑になってしまう。このような複雑さに対して,in vitro systemはそれぞれの反応を簡単明瞭に検討できるという点で存在する理由があるように思われる。
しかしこのような利点のある反面,in vitroで起った反応が,果たして生体内でも起り得るかどうかについて,一沫の不安があることはいなめない。いままでのところ,ホルモン分泌に関する研究には下垂体腫瘍から樹立されたGH1(1),GH3(2),AtT20(3)がよく使用されてきたが,これらは正常細胞と異り,腫瘍細胞であるという点で,正常下垂体前葉ホルモンの産生・分泌を検討するうえに多少不満な点がある。この不利な点を考え,一般に正常前葉細胞を消化酵素を用いて解離して得た細胞(primary culture)を上記研究に用いているが,これも実験期間がちょうどcell degenerationの過程にあるという点で不満がある。
掲載誌情報