文献詳細
文献概要
講義
酸素と生命
著者: 藤田道也2
所属機関: 1 2浜松医科大学生化学第二講座
ページ範囲:P.395 - P.403
文献購入ページに移動このように,各方面の専門家である皆さまにすべてのレベルでお話をするということは大変難しいことでして,ですから本日は歴史的・文化的な面と基礎科学的な面と臨床科学的な面の三つに分けてお話ししたいと思います。もちろん,この三つを同等に扱うわけにはまいりません。たぶん基礎科学は歴史と医学の間で圧しつぶされそうになるでしょう。だいたいそうなるように相場は決まっています。まず,酸素と生命の間にあんなふうな深い関係があり,真核細胞の進化と酸素の間に密接な関係があるのはどうしてか・なぜかということを考察し,つぎに,われわれのからだの組織,中でも脳と心臓が酸素欠乏にどれほど敏感か(それは脳出血や心筋梗塞という病気があることでわかるわけですが)についてお話しするつもりです。事実,酸素欠乏がふつう死の直接原因であるといっていいでしょう。
掲載誌情報