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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻6号

1978年12月発行

特集 最近の神経科学から

講義

ネコの前肢を制御する脊髄固有運動中枢における統合

著者: 渋木克栄2

所属機関: 1Department of Physiology, University of Göteborg 2東京大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.445 - P.458

文献概要

 脊髄における統合機能と題して,前肢運動ニューロンに関する最近の知見を概説することにする。前肢運動ニューロンは,いろいろな上位中枢からの興奮を,C3とC4の脊髄分節にある短突起の脊髄固有ニューロンを介して受けること,そして,これらの脊髄固有ニューロンによる制御はきわめて複雑であることを示そう。興奮性,抑制性入力の収束は,いろいろな上位中枢からだけでなく,前肢の求心性線維からも起こる。
 運動ニューロンに対する脊髄固有の制御は,最初にLloyd21)により研究された。彼は延髄から脊髄への斉射をいろいろな分節の高さで記録し,上部腰髄ニューロンへの単シナプス性結合を示した。Lloydは,脊髄内で中継される斉射と運動ニューロンの発火とを比較し,短突起の脊髄固有ニューロンを介する延髄から運動ニューロンへの二シナプス性経路の存在を想定した。彼はまた,前もって運動皮質や後肢からの一次求心線維を刺激しておくと,脊髄固有ニューロンへの斉射の伝達が促通されることを示した。腰髄短突起脊髄固有ニューロンの機能は,Vasilenkoら32,33)やKazhonov and Shapovalov16,17)によってさらに研究されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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