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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻6号

1978年12月発行

実験講座

Flow cytophotometry(FACS-Ⅱ)を用いた細胞螢光偏光度の測定法

著者: 工藤秀機1 渡辺京子1 松井良樹1 桃井宏直1

所属機関: 1東京医科歯科大学,第一内科

ページ範囲:P.475 - P.480

文献概要

 はじめに
 細胞を構築している高分子のミクロ構造や運動を研究する際に,電子スピン共鳴法や螢光法などの測定法が用いられる。とくに螢光法による場合は,螢光性分子の電子エネルギー緩和の時間尺度を基準時間尺度として分子運動の緩和時間を測定する方法がとられる。異方性の高い螢光性分子を細胞に標識すると,螢光性分子は標識部位でのミクロな環境の変化を分子の回転ブラウン運動として反映するため,その運動挙動を螢光偏光解消でとらえ,細胞における流動性,微小粘性に関する知見を得ることができる。このような方法は広く生体における諸現象を追究する際の一つの手段として用いられており,すでにInbar, Shinitzky1〜5)およびCercek6〜9)らは生体細胞での螢光偏光度を測定し,一連の報告を行っている。
 しかしながら,測定装置に関しては,従来ほとんどが細胞浮遊液を石英角セルに入れて測定する細胞集団についての偏光度測定法か,あるいは顕微鏡を用いて100ないし200の細胞について1細胞ごとに測定する方法がとられているにすぎない。個々の細胞の偏光度を知る意味では顕微鏡による方法はよいが,この方法では,4桁以上に及ぶ多数の細胞の偏光度を短時間に測定することは不可能である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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