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文献詳細

雑誌文献

生体の科学29巻6号

1978年12月発行

文献概要

実験講座

小腸刷子縁膜小胞の分離精製—迅速簡便法

著者: 大沢一爽1 鹿野亜砂子1 星猛1

所属機関: 1東京大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.481 - P.489

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 はじめに
 細胞の表面あるいは細胞内の特定の部分の膜を分離精製し,その機能や生化学的諸性質をより分析的に研究する試みは,すでに多くの分野で数多くなされてきている。しかし,細胞の特定の膜系を分離するためには,一般にごくわずかの膜の比重の差や,膜の表面電荷の差または電気泳動易動度の差を利用して分離するため,超遠心分離,あるいは密度勾配遠沈法を繰返し行うか1〜5),またはある程度まで分離遠沈法で分離した膜標本をさらに電気泳動法によって分ける技術が用いられてきている6)。このような技術は時間を要し,かつ遠心機を複数必要とする。またとくに遠心分離技術に習熟した研究者のみが駆使しうる方法であった。
 しかし,近年この膜の分離調製の経験が集積されるに従い,ある膜については,意外と簡単に,かつ短時間に分離調製することが可能であることが知られてきている。とくに小腸の刷子縁膜については分離が次々と簡便化されつつある現状で,従来複雑な遠沈法を用いていた人も,それに変えつつある。われわれも,簡便であると同時に,十分高い機能を保持した膜小胞標本を得ることを小腸の刷子縁膜で検討してきたので,そのことを中心に紹介してみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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