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文献詳細

雑誌文献

生体の科学3巻1号

1951年08月発行

文献概要

總論

癌の發生

著者: 守山英雄1

所属機関: 1湘南衞生研究所

ページ範囲:P.2 - P.7

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 1,癌細胞と性細胞
 癌細胞が胎兒細胞に種々の點でよく似ているという事實は,久しい前から注目されている。癌細胞が糖を分解して乳酸とする解糖作用正常細胞に比しておどろく程大きく,酸素の供給が充分である時は,正常細胞は解糖作用をいとなまないのであるが,癌細胞ではきわめて活溌である。ところが胎兒や胎盤組織も癌細胞と同樣その解糖作用はいちぢるしい。
 Zamenick1)やFriedberg2)の同位元素を用いての實驗によると,アミノ酸をとりこむ能力は,正常細胞よりも癌細胞の方がずつと強大であるが,胎盤組織もそうである。Dickens等3)は正常細胞が癌細胞に變化すると,ピルヴィン酸から糖を伴つたりカプリリン酸からアセト醋酸を合成する樣な高度に分化した機能はほとんど全く消失することを見出した。その他種々の酵素の働きから見て,胎兒組織が正常組織よりも癌組織に似ていることは,動かすべからざる事實のようである。癌細胞に有害に作用するX線が性細胞に有害に働き,去精作用を現すことはよく知られている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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