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文献詳細

雑誌文献

生体の科学3巻4号

1952年02月発行

文献概要

綜説

放射性同位元素の生理科學への應用

著者: 吉川春壽1

所属機関: 1東京大學醫學部・生化學教室

ページ範囲:P.140 - P.146

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 同位性元素を生物の物質代謝の研究に應用した先驅者はHevesyであつた1)。彼が最初利用したのはRa Dであつたが,このものはRaの逐次崩壌によつて生ずる鉛の同位元素であるが,Ra Dを鉛から分離することが不可能な事實から之を利用してRa Dを含む鉛の放射能をたよりに硫化鉛,クローム酸鉛の溶解度を測定した。その後123年にこのことを植物に擴張し,鉛の植物における吸收,移動の研究を行い2),ついでRa D及び蒼鉛の同位體なるRa Eを用いて鉛及び蒼鉛の動物體における吸收及び排泄の研究をした3)。當時は天然の放射性元素が唯一の材料であつたので應用の範圍はせまかつたが1934年Curie及びJoliotの人工放射性同位元素の發見はこの極限された應用範圍を著しくひろげる動機となつた。1935年Chiewitz及びHevesy4)は人工放射性燐P32をはじめて動物の代謝研究に應用した。
 人工放射性元素の發見の少し前に重水素Dが發見され,Hevesy及びHofer5)は之を含む水を以て金魚の水代謝の研究を行つたのが,1934年で,後にSchoenheimer一派が脂酸及びアミノ酸の代謝をこの重水素及び重窒素N15を用いて研究した6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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