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講座
ヒスタミン
著者: 熊谷洋1
所属機関: 1東京大學藥理學教室
ページ範囲:P.163 - P.168
文献購入ページに移動 昭和7年來筆者が,訓練した犬を無麻醉のまゝ長時間に亙り横臥させて,慢性子宮瘻管法(東,熊谷,1934)によつて生體内子宮運動の研究中(熊谷,1936)麥角アルカロイドと共に麥角中に存するヒスタミンが單獨靜注の際特異な作用,即ち一過性の收縮とこれに次ぐ運動並にトーヌスの抑制を來し,その經過がアドレナリンの夫れ及びピトレッシンの作用の一部に近似し,而もこの作用は殆どすべての性週期を通して不變であり,又無麻醉海猽生體内子宮に於ても全く同一であつた事實は,剔出子宮に於てはヒスタミンが常に收縮を來す事實と對比考察すると,極めて興味ある事實で,而も筆者にとつては一つのなぞとして殘つていた,けれどもヒスタミン作用は,當時は他の實驗の一部として行つたものであつたため,特にこれを追求する機會がなくて濟んでいた。
その後吾が教室の山本(1977)が大腸菌毒素の藥理學的研究中,その作用が質的にヒスタミンに近似しながらも海猽生體内,子宮に對する作用が明確にヒスタミンと異る事實を經驗した。これも亦筆者が特に興味を感じた處であつたが,時正に大戰のさ中であり(發表は遙に遲れて,1947年となつたが),これ亦深く追求する機會がなくで止んだ。
その後吾が教室の山本(1977)が大腸菌毒素の藥理學的研究中,その作用が質的にヒスタミンに近似しながらも海猽生體内,子宮に對する作用が明確にヒスタミンと異る事實を經驗した。これも亦筆者が特に興味を感じた處であつたが,時正に大戰のさ中であり(發表は遙に遲れて,1947年となつたが),これ亦深く追求する機會がなくで止んだ。
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