文献詳細
文献概要
特集 神経伝達物質の同定 総説
神経伝達物質の発生と分化
著者: 小幡邦彦1
所属機関: 1群馬大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.67 - P.72
文献購入ページに移動 はじめに
神経伝達物質はニューロンごとに1種類が定められていて,それが変更されることはないと一般に考えられる。シナプス伝達,ひいては神経系機能の変化は伝達物質の合成,放出,取込みの量的変化やレセプター遮断などの結果として理解しようと試みられる。しかし最近,このようなシナプスを固定的なものとする従来の考えは一部,再検討が迫られている。つまり,ある条件下では神経伝達物質の転換が起ることが見出され,また技術的進歩により1ニューロンに2種以上の伝達物質候補が存在する例が集められている。さらにdevelopmental neurobiologyの発展とともに,ニューロンの分化,伝達物質の決定は重要なテーマとなってきた。得られた知見の多くは末梢神経系で発生過程や培養下においてのものではあるが,今後,中枢神経系の形成や機能を解明していく場合の重要な手がかりとなろう。
神経伝達物質はニューロンごとに1種類が定められていて,それが変更されることはないと一般に考えられる。シナプス伝達,ひいては神経系機能の変化は伝達物質の合成,放出,取込みの量的変化やレセプター遮断などの結果として理解しようと試みられる。しかし最近,このようなシナプスを固定的なものとする従来の考えは一部,再検討が迫られている。つまり,ある条件下では神経伝達物質の転換が起ることが見出され,また技術的進歩により1ニューロンに2種以上の伝達物質候補が存在する例が集められている。さらにdevelopmental neurobiologyの発展とともに,ニューロンの分化,伝達物質の決定は重要なテーマとなってきた。得られた知見の多くは末梢神経系で発生過程や培養下においてのものではあるが,今後,中枢神経系の形成や機能を解明していく場合の重要な手がかりとなろう。
掲載誌情報