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文献詳細

雑誌文献

生体の科学30巻2号

1979年04月発行

文献概要

特集 神経伝達物質の同定 総説

伝達物質の放出,結合と不活性化—アミノ酸を中心に

著者: 金澤一郎1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系神経内科

ページ範囲:P.92 - P.100

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 はじめに
 神経伝達物質の同定基準の一つに"放出"がある。したがって伝達物質の可能性が示唆される物質の神経終末からの放出の証明は,それ自体がその物質の伝達物質としての地位を確実に高めるものであるけれども,証明に用いた方法によってはさまざまな問題があると思われる。また,同じくシナプス部で起る現象の一つに,伝達物質とシナプス後膜受容体との"結合"がある。これは比較的最近研究対象となってきた現象であるが,生理的条件下での結合を正確に反映しているのであろうか。また,方法には問題がないのだろうか。さらに,シナプス部で作用をあらわした伝達物質が"不活性化"されてゆく過程があるはずであり,広義の伝達物質の同定基準の一つと考えられる。この不活性化過程の様式の一つとして伝達物質候補の神経終末部への取込み現象があるとされ,取込み現象の証明がすなわち不活性化過程の証明であると比較的簡単に受け入れられていると思われるが,はたして本当にそうなのだろうか。
 以上のようにシナプス部で神経伝達にかかわりあいをもつ伝達物質の"放出","結合","不活性化"という三つの現象にまつわる問題点について,現時点でどこまでが確かなことであり,どこから曖昧であるのかを多少なりとも明確にすることが,本小文の目的である。そのために伝達物質候補としてのアミノ酸を例とし,かなり意図的に批判の眼で,問題点を取り上げることにした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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