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文献詳細

雑誌文献

生体の科学30巻3号

1979年06月発行

文献概要

特集 網膜の構造と機能 総説

杆体光応答のイオン機構

著者: 田内雅規2

所属機関: 1 2東京女子医科大学第2生理学教室

ページ範囲:P.168 - P.172

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 視覚情報の受容過程はまず網膜の視細胞(杆体と錐体)の外節における光受容のために特殊化した構造中の視物質による光量子の吸収によって始まる。電気生理学的研究によれば,脊椎動物網膜の視細胞は,暗時,一般の神経細胞と比べてその膜電位はより小さく,光刺激を与えた場合には過分極方向に向い,一般神経細胞の静止膜電位のレベルに近づく傾向のあることが知られている8)。また,通電実験による膜の電流—電圧特性からみると,杆体と錐体は共に光照射時に膜抵抗の増大があることから,暗時,視細胞はイオン透過性が高くて脱分極しており,光照射によってその透過性が減少する結果過分極が起ると考えられる1,5,9)。細胞内誘導電位を指標とした外液のイオン置換実験の結果,Naの除去により光応答が可逆的に消失することが報告された3,4)。これは,暗時に視細胞外節はNaに対し高い透過性を有するが光照射によってそれが減少するという仮説を支持するものである7)
 視細胞膜のコンダクタンス変化が光応答の発現にいかに関っているかを明らかにしてゆくために,Baylor & Fuortes1)はつぎのような仮定を行った。それは,暗時に杆体および錐体の外節膜はイオンを透過し得る状態にあり,コンダクタンスは高いが,視物質の光量子吸収は膜に作用してイオンチャネルをブロックするような物質の産生を促し,コンダクタンスを減少させるというものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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