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特集 網膜の構造と機能 総説
コンピューターによるキンギョの杆体シナプスの再構築とその解析
著者: 霜田幸雄2
所属機関: 1 2慶応義塾大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.173 - P.177
文献購入ページに移動 脊椎動物の網膜は中枢神経系におけるシナプス構築の研究に適したモデルと考えられてきた1)。しかし,これは網膜が単純であるということではない。網膜における空間的な光の情報処理機構や色覚の情報処理機構は生理学や解剖学の研究で明らかにされてきているが,動いている物体の認識の機構や発生過程における細胞分化などの問題はまだ明らかにされていない。情報処理という点で網膜のシナプスの生理的機能を説明する必要があるのだが,形態学的研究が詳細になるにつれて,想像以上に複雑であることがわかってきた2,3)。さらに,発生過程において特定の細胞がシナプスを形成することや,成長過程のシナプス結合の可塑性やその保持について,いろいろな考え方が出されている。
網膜のシナプス結合は光情報処理という生理的機能に関連して形態的にも複雑かつ精密である。このような微小なものを形態学的に詳細に研究するには,三次元的解析方法が必要となってきた。従来より行われている連続超薄切片から塑像などのモデルで細胞の形態を再構築する方法は,退屈で時間のかかる割には,それほど多くのデータが得られずシナプスの配列や定量的な解析には有効なものではなかった。神経系の発生の機構やその保持,あるいはその最終的な機能を理解するためには,形態学で得られたデータを今までとは異る画期的な方法を用いて処理する必要が生じてきた5,6)。
網膜のシナプス結合は光情報処理という生理的機能に関連して形態的にも複雑かつ精密である。このような微小なものを形態学的に詳細に研究するには,三次元的解析方法が必要となってきた。従来より行われている連続超薄切片から塑像などのモデルで細胞の形態を再構築する方法は,退屈で時間のかかる割には,それほど多くのデータが得られずシナプスの配列や定量的な解析には有効なものではなかった。神経系の発生の機構やその保持,あるいはその最終的な機能を理解するためには,形態学で得られたデータを今までとは異る画期的な方法を用いて処理する必要が生じてきた5,6)。
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