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ミトコンドリアにおける酸化的りん酸化—膜生理の立場から
著者: 北里宏1
所属機関: 1滋賀医科大学第二生理学教室
ページ範囲:P.184 - P.191
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昨年Peter Mitchellがノーベル化学賞を受賞したことはミトコンドリアにおける酸化的りん酸化についての化学浸透説が広く認められるようになったことを示している。この陰には,化学浸透説を支える多くの実験,とくにRacker1)および香川2)らの共役因子についての素晴らしい実験があった。H+の電気化学ポテンシャル勾配が基質の酸化とりん酸化反応を共役させるものであることが明らか3,4)となったいまでは,研究の中心は受動的なH+の流れとATP合成反応との共役に移っている。生化学の方から膜に近づいてきたこの時期に,膜生理の方からもこの興味深い問題に近づけるように,膜電位と関係の深い概念を用いてこれまでの考え方を整理解説してみることにする。
昨年Peter Mitchellがノーベル化学賞を受賞したことはミトコンドリアにおける酸化的りん酸化についての化学浸透説が広く認められるようになったことを示している。この陰には,化学浸透説を支える多くの実験,とくにRacker1)および香川2)らの共役因子についての素晴らしい実験があった。H+の電気化学ポテンシャル勾配が基質の酸化とりん酸化反応を共役させるものであることが明らか3,4)となったいまでは,研究の中心は受動的なH+の流れとATP合成反応との共役に移っている。生化学の方から膜に近づいてきたこの時期に,膜生理の方からもこの興味深い問題に近づけるように,膜電位と関係の深い概念を用いてこれまでの考え方を整理解説してみることにする。
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