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文献詳細

雑誌文献

生体の科学30巻3号

1979年06月発行

文献概要

解説

睡眠機構学説の再検討

著者: 鳥居鎮夫1

所属機関: 1東邦大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.192 - P.199

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 はじめに
 睡眠機構に関する学説は,1950年代に入って,AserinskyとKleitman3)が,睡眠にはNREM睡眠とREM睡眠の二つの状態があることを発見してから大きく変貌した。われわれの意識は三つの主要な状態,すなわち,覚醒,NREM睡眠,およびREM睡眠からなっていること,これらが一定の順序をもって出現することなどを説明する必要が起きてきた。正常では睡眠はNREM睡眠から始まって,NREM-REMの交代があるということを説明しようとして,Jouvetのモノアミン仮説18)は,NREM睡眠がREM睡眠の引き金になっていると仮定した。Hobsonら14)はNREM睡眠とREM睡眠は2種のニューロン集団の間の相反性作用によって起ると提唱した。しかし,覚醒—NREM睡眠—REM睡眠という一定の順序をもって現われることを説明しようとする生理学的モデルは,ナルコレプシーのような病的状態12)や,時差ぼけ9)のときなどにみられる順序の狂いをも説明できないと不十分であろう。
 この論文では,この10年間睡眠研究の主役を演じてきたJouvetのモノアミン仮説が現在どのように評価されているかを中心に文献的な考察を試みたい。そしてこの論文の後半ではこれからの睡眠研究の主役になると思われる睡眠物質について最近の進歩を紹介したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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