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特集 In vitro運動系 総説
原形質流動のモデル化
著者: 黒田清子1
所属機関: 1大阪大学理学部生物学教室
ページ範囲:P.334 - P.340
文献購入ページに移動Szent-Györgyi1)によって開発されて以来,グリセリンモデルは筋の生化学,生理学の分野のみでなく,非筋細胞2)の運動機構の研究に広く用いられるようになった。また非イオン界面活性剤で細胞の膜を除去した系も,筋収縮3)のみでなく,べん毛4),線毛5)の"Tritonモデル"など,輝かしい成果を挙げるのに寄与している。さらに,筋細胞の膜を機械的に剥がした"Skinned fiber"6)は細胞質をできるだけ傷つけずに膜を取り去るという意味で,より生理的なモデル系である。この"名取の線維"を用いて筋収縮に関する多くの重要な生理機能が明らかにされた。ここ数年来,非筋細胞でも膜を機械的に脱がした系が次第に用いられるようになった。これら脱膜系(demembranated system)が細胞運動の機構の解明に果たす役割は大きいと思われる。
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