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文献詳細

雑誌文献

生体の科学30巻5号

1979年10月発行

文献概要

特集 In vitro運動系 総説

原形質流動のモデル化

著者: 黒田清子1

所属機関: 1大阪大学理学部生物学教室

ページ範囲:P.334 - P.340

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 生きている正常の細胞を解体して,運動に関する機能を残したまま,運動と直接関係のない不要の部分を順次除外して,より簡単なモデル細胞系を用いることは,純粋の既知の物質を組み合わせて運動を誘起するモデル系とは別の方向からのアプローチとして,細胞運動の解明に有効な手段と考えられる。
 Szent-Györgyi1)によって開発されて以来,グリセリンモデルは筋の生化学,生理学の分野のみでなく,非筋細胞2)の運動機構の研究に広く用いられるようになった。また非イオン界面活性剤で細胞の膜を除去した系も,筋収縮3)のみでなく,べん毛4),線毛5)の"Tritonモデル"など,輝かしい成果を挙げるのに寄与している。さらに,筋細胞の膜を機械的に剥がした"Skinned fiber"6)は細胞質をできるだけ傷つけずに膜を取り去るという意味で,より生理的なモデル系である。この"名取の線維"を用いて筋収縮に関する多くの重要な生理機能が明らかにされた。ここ数年来,非筋細胞でも膜を機械的に脱がした系が次第に用いられるようになった。これら脱膜系(demembranated system)が細胞運動の機構の解明に果たす役割は大きいと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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