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文献詳細

雑誌文献

生体の科学30巻6号

1979年12月発行

解説

抗体産生の分子生物学

著者: 西澤芳男1 岸本忠三2

所属機関: 1上二病院臨床検査科 2大阪大学医学部第三内科

ページ範囲:P.456 - P.469

文献概要

 はじめに
 1950年代後半から1900年代前半にかけてGoodら,Millerら1,2)が生体の免疫機能を担うリンパ球に,機能を異にする二つのクラス,すなわち,T細胞とB細胞が存在することを明らかにし,その後,Miller3),Clamann4),Dutton5)を初めとする多くの研究者たちによって抗原刺激をうけたB細胞が抗体産生細胞へと分化増殖してゆく過程にT細胞が重要な役割を果していることが明らかにされた。こうした一連の抗体産生機構解明の研究の内で1970年代前半が主として現象論の研究であったのに対し1970年代後半は,これら抗体産生機構を分子のレベルでとらえようとする時代への入り口であったといえよう。
 そこで,本稿ではB細胞の抗体産生細胞への分化増殖機構,すなわち,B細胞がいかにして抗原を認識する細胞へと分化してゆくか,B細胞活性化のシグナルがいかなる機構によりB細胞へ与えられ,活性化のシグナルをうけたB細胞がT細胞の調節機構のもとにいかにして抗体産生細胞へ分化増殖してゆくか,現在分っていることを中心にできる限り物質レベルから論じてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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