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文献詳細

雑誌文献

生体の科学30巻6号

1979年12月発行

文献概要

実験講座

核膜・核球の調整法

著者: 上田潔1 松浦尚雄1

所属機関: 1滋賀医科大学第二生化学教室

ページ範囲:P.483 - P.488

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 はじめに
 核膜の形態的特徴は,Afzelius(1955)1)がウニ卵母細胞について電子顕微鏡と超薄切片の手法を用いて初めて明らかにしたが,その核は二重膜で包まれ多数の核膜孔がこれを貫いていた。このような構造が核膜の一般的特徴であるが,二重膜は80〜100Å厚さの内・外膜が100〜300Åの間隔で不規則に相対し,その問に核周囲腔をつくり,外膜の細胞質側にはときにリボゾームの付着が認められ,内膜の核質側にはタンパク質層が裏打ちしている。さらに二重膜を貫く核膜孔には核膜孔物質がつまり,円柱状の通路が中心を通る微小管構造となり,外膜の外に盛り上るため切線切片では小環構造となってみえる。
 このように核膜は他の生体膜にはみられない複雑な構造をもつので,その単離法は研究者の目的により異り,崩壊の少ない核球から二重膜の断片を集めている場合まである。ことに最近にいたり,二重膜をはがした後にも核がその球状形態を保持し,nuclear matrixとよばれる構造物がこれを支えており,核膜の機能にとって重要と考えられる核膜孔装置(pore complex)がそこに残っていることが判った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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