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特集 ゴルジ装置 総説
ゴルジ装置の細胞化学
著者: 斎藤多久馬1 松下正也1
所属機関: 1自治医科大学解剖学教室
ページ範囲:P.12 - P.21
文献購入ページに移動 固定のartifactを見ているのではないかと永らくその存在が疑問視されていたゴルジ論議に終止符を打ったのは位相差顕微鏡によるゴルジ装置の観察と,オスミウム標本を電顕観察しゴルジ装置が滑面の槽の層板状配列を中心に空胞,小胞からなることを明らかにしたDalton1〜3)の研究による。1961年Novikoff and Goldfischer4)およびAllen and Slater5)がthiamine pyrophosphatase活性を組織化学的に検出する方法を報告し,ゴルジ装置が染色されることを指摘したことによりその後のゴルジ装置研究の発展は組織化学に負うところが多い(図1)。Allen and Slater5)が導入したthiamine pyrophosphatase活性検出の方法はGomoriのalkaline phosphatase活性検出法を土台にしたCaを捕捉剤に用いたもので,Novikoff and Goldfischer4)法はGomoriのacid phosphatase検出法を基本に鉛を捕捉剤にするものであった。それより早く1955年にScheldonら6)により組織化学標本の電顕的観察が可能となっていたので新しく検出法が呈出されたthiamine pyrophosphatase活性もさっそく電子顕微鏡的観察が試みられ,活性はゴルジ装置に局在することが明らかとなった。
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