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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻1号

1980年02月発行

文献概要

解説

腸管平滑筋に対するカテコルアミンの作用

著者: 富田忠雄1

所属機関: 1名古屋大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.47 - P.54

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 緒言
 平滑筋に対するカテコルアミン(catecholamine)の作用は古くから興味をもたれ,消化管平滑筋のみならず,子宮,輸精管,輸尿管,気管,血管などの平滑筋で調べられている。ここでは消化管の平滑筋のみを取り上げ,現在の問題点を指摘してみたい。消化管に限っても,catecholamineに対する反応は食道,胃,十二指腸,胆管,空腸,回腸,盲腸,結腸,直腸などの部位によって,また,同じ部位でも動物の種類や実験条件によって違う場合があるし,また分析の程度もそれぞれ異っているので,一般論として述べるのに難しさが感じられる。なお,縦走筋,輪走筋,あるいは粘膜下に存在する平滑筋(粘膜筋板)に分けて,厳密性の高い実験を行ったものは少ないので,実験結果の解釈に問題があるものも存在する。
 Catecholamineを平滑筋に作用させる場合,平滑筋を支配する神経に作用し,神経から放出される伝達物質の量を変化させることによって,間接的に平滑筋の動きに影響を与える場合と,直接的に平滑筋細胞に作用する場合とが考えられる。しかし,多くの実験で,これらの点が十分に考慮されていないので,間接作用と直接作用との区別をつけにくに場合がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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