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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻1号

1980年02月発行

実験講座

吸引電極法による細胞内灌流

著者: 赤池紀扶1

所属機関: 1熊本大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.55 - P.71

文献概要

 序
 1961年Oikawaら1)とBakerら2)の二つのグループにより時を同じくしてそれぞれ独立に開発されたヤリイカ巨大神経線維の細胞内灌流法は,興奮膜を横切るイオン電流の電気生理学的定量解析の急速な進歩を促し,今日においても興奮膜研究の主流の一つとなっている。そしてこの研究で知られる米国東部海岸のWoods Holeは,基礎生理,薬理および生物物理学者のメッカの感がある。
 さて筆者は,1975年11月より約8ヵ月間,A. M. Brown教授とK. S. Lee君の協力を得て,直径15μ以上の単一神経細胞ならびに心室筋細胞を人工液や薬物で細胞内灌流し,同時に細胞を電流または電圧固定下に刺激し,かつ記録できる吸引電極(Akaike-Brown-LeeよりABL吸引電極とも呼ばれる)の開発に従事した。ところでこの新しく考案したABL吸引電極法について述べる前に,従来から使用されているヤリイカ巨大神経線維の細胞内灌流法およびLing & Gerard3)による微小ガラス電極法の長所と短所を知ることは,吸引電極法との比較の上で有意義と思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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