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特集 免疫系の情報識別
特集「免疫系の情報識別」によせて—外なる自己について
著者: 多田富雄1
所属機関: 1東京大学医学部血清学
ページ範囲:P.106 - P.107
文献購入ページに移動 免疫系の最も基本的な機能は,いうまでもなく「自他の識別」である。この識別に続いて起る一連の生体反応が免疫応答である。では生体にとって「自」とは何か,「他」とは何か,そして「識別」とは何かと逆向きに問い直してみると,私たちは白紙に向って何ひとつ正確に答えることができないことにがく然とするものである。
個体が個性を持った個体であり得るためには,まず「他」から「自」を区別する必要がある。そのためには,「他」の特徴を正確に知ると同時に,「自己」の最も特徴あるものと対応させ,比べあわせる,照合の作業がなければならない。とすれば,「他」を知るためには,「自己」に関するすべての情報がファイルされ,つねにreferされる条件が必要であろう。もし「他」が,きわめて「自己」に似かよっている場合の方が,照合はよりたんねんに行なわれなければならないだろうし,「はるかに」異なったものとの照合に比べて,より詳細な「自己」についての情報が必要になるであろう。
個体が個性を持った個体であり得るためには,まず「他」から「自」を区別する必要がある。そのためには,「他」の特徴を正確に知ると同時に,「自己」の最も特徴あるものと対応させ,比べあわせる,照合の作業がなければならない。とすれば,「他」を知るためには,「自己」に関するすべての情報がファイルされ,つねにreferされる条件が必要であろう。もし「他」が,きわめて「自己」に似かよっている場合の方が,照合はよりたんねんに行なわれなければならないだろうし,「はるかに」異なったものとの照合に比べて,より詳細な「自己」についての情報が必要になるであろう。
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