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文献概要
特集 免疫系の情報識別 総説
マクロファージの抗原識別とリンパ球の活性化
著者: 横室公三1
所属機関: 1日本医科大学微生物学免疫学教室
ページ範囲:P.115 - P.124
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ミジンコの体内に侵入した異物をミジンコの細胞が貪食するのを顕微鏡下に見たMetchnikoffは,異物の細胞による貪食こそ生体の防御機構をになうものであろうと考え,このような貪食能をもつ細胞をphagocyteと名づけた。そして異物はphagocyteによって認識され貪食されることにより生体は防御されるとする細胞による免疫論が誕生した1)。同じ頃Ehrlichは細菌毒素の作用機作の研究から,毒素は細胞上にあらかじめ存在する側鎖と結合することにより細胞に障害を与えるが,結合した側鎖が細胞から離脱すると,もはや毒素は細胞を障害しえず側鎖の離脱した細胞には側鎖の再生がおこり,過剰に再生された側鎖は血中に放出され血中て毒素と結合中和することにより生体を毒素から守るとする側鎖説を展開した2)。現代免疫学の言葉を借りるならばEhrlichの側鎖はリンパ球の抗原と結合するreceptorや抗体にほかならない。その後の免疫学の歴史の振子はこの2人の巨人の理論の間をゆれながら進歩発展してきたといっても過言でない。
異物がMacrophageによって認識されるというMetchnlkoffの鋭い観察も抗原が細胞のreceptorや抗体によって認識されることを予見したEhrlichの透徹した理論もその根本理念において,現在なんの修正も必要としていない。
ミジンコの体内に侵入した異物をミジンコの細胞が貪食するのを顕微鏡下に見たMetchnikoffは,異物の細胞による貪食こそ生体の防御機構をになうものであろうと考え,このような貪食能をもつ細胞をphagocyteと名づけた。そして異物はphagocyteによって認識され貪食されることにより生体は防御されるとする細胞による免疫論が誕生した1)。同じ頃Ehrlichは細菌毒素の作用機作の研究から,毒素は細胞上にあらかじめ存在する側鎖と結合することにより細胞に障害を与えるが,結合した側鎖が細胞から離脱すると,もはや毒素は細胞を障害しえず側鎖の離脱した細胞には側鎖の再生がおこり,過剰に再生された側鎖は血中に放出され血中て毒素と結合中和することにより生体を毒素から守るとする側鎖説を展開した2)。現代免疫学の言葉を借りるならばEhrlichの側鎖はリンパ球の抗原と結合するreceptorや抗体にほかならない。その後の免疫学の歴史の振子はこの2人の巨人の理論の間をゆれながら進歩発展してきたといっても過言でない。
異物がMacrophageによって認識されるというMetchnlkoffの鋭い観察も抗原が細胞のreceptorや抗体によって認識されることを予見したEhrlichの透徹した理論もその根本理念において,現在なんの修正も必要としていない。
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