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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻2号

1980年04月発行

文献概要

特集 免疫系の情報識別 総説

リンパ球の増殖と分化の制御

著者: 難波雄二郎1

所属機関: 1京都大学ウイルス研究所病理部

ページ範囲:P.125 - P.130

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 はじめに
 ClamanやMillerらによってリンパ球が抗体産生細胞系(B細胞系)とその増殖分化を助ける細胞系(T細胞系)とにわかれている事が明らかにされて以来,我々の免疫系に対する理解は飛躍的な発展を遂げた1,2)。B細胞系に対するT細胞系の機能は,当初B細胞系の増殖分化を促進すること(ヘルパー機能)のみだと考えられていたが,多田やWaksmanらの研究によってある条件下では抗体産生を抑制する機能が存在することが明らかにされ,T細胞系のB細胞系への働きかけ(T-Binteraction)のしくみが多元的であり,T細胞系が生体の免疫応答(immune response)を調節する主役であることが明らかになった。
 さらにCanterやAsofskyらによって,異なる機能を荷ったT細胞間での相互作用(T-T interaction)が存在することが明らかにされ3,4),生体の免疫系はこれら異なる機能を持ったリンパ球のネットワークによって成り立っている事が次第に明らかになってきた。リンパ球は抗原を認識した後,これらの細胞間相互作用によって,コントロールされながら抗体産生細胞あるいは細胞性免疫をになう細胞に増殖分化するわけで,本稿ではこれらの制御機構について記述したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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