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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻2号

1980年04月発行

解説

小脳の帯状構造とオリーブ小脳投射

著者: 川村光毅1

所属機関: 1岩手医科大学解剖学第一講座

ページ範囲:P.139 - P.148

文献概要

 まえがき
 萎脳峡(isthmus rhombencephali)を境にして脳全体は大脳を含む前方部と菱脳を含む後方部の二つの基本部分にわけられる。小脳は胎生期菱脳の翼板(alar plate)の背外部が内方へ曲って形成された菱脳唇から背方向に発達したもので,オリーブ核や橋核は翼板にある他の細胞群が腹方に移動して形成されたものである。哺乳動物の脳でとくに明らかなように,小脳は正中部の虫部と左右の半球部からなるが,系統発生的にみれば,前庭神経の原始的な延髄核から,または,第一次の前庭域から発達したものである。下オリーブ核群には脳内の種々の領域からの神経線維が核内の特定の部位に主な終止域をもって入ってくる(後述,図9参照)。一方,オリーブ核から起こるオリーブ小脳線維は恐らくすべて登上線維として小脳皮質分子層のプルキンエ細胞樹状突起に(分枝は小脳核などにも)終わる(註:カエルの第一次前庭神経線維には苔状線維と登上線維の2系が存在するとされているが28,29),少くとも高等脊椎動物では,オリーブ核以外の部位から登上線維が起こるという確実な証拠は現在得られていない)。
 さらに,大脳皮質の発達にともなって小脳皮質との間の中継核として橋核が発達してくる。橋核細胞からは苔状線維が起こり,顆粒細胞に終わる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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