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特集 赤血球膜の分子構築 総説
赤血球膜脂質の存在状態
著者: 大西俊一1 黒田和道1
所属機関: 1京都大学理学部生物物理学教室
ページ範囲:P.205 - P.210
文献購入ページに移動 Ⅰ.赤血球膜脂質の種類
ヒトの赤血球膜に存在する脂質は,リン脂質,コレステロール,糖脂質であり,その存在量は重量比にして,約73%,22%,5%である。もっとも豊富に存在するリン脂質は,膜の骨格である二分子層構造を形成している。コレステロールは,この二分子層膜の流動性などを調節する役割をになっていると思われる。糖脂質は,その存在量は少ないが,細胞表面に存在し,細胞の認識という機能にとって欠かせない成分である(本特集の飯田論文を参照のこと)。
赤血球膜のリン脂質は,ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルエタノールアミン(PE),ボスファチジルセリン(PS),スフィンゴミエリン(Sph)などで,その存在量は図1に示すようである。頭部極性基にコリン基をもつPCとSphを加えると,全体の約半分(54%)になる。図1には,他の哺乳動物の赤血球膜についての分析値も示されているが,どの場合でもPCとSphを加え合わすと全体の約半分になっている。牛,羊,山羊のように,PCがほとんど零のものについても成立っているのは興味深い1)。
ヒトの赤血球膜に存在する脂質は,リン脂質,コレステロール,糖脂質であり,その存在量は重量比にして,約73%,22%,5%である。もっとも豊富に存在するリン脂質は,膜の骨格である二分子層構造を形成している。コレステロールは,この二分子層膜の流動性などを調節する役割をになっていると思われる。糖脂質は,その存在量は少ないが,細胞表面に存在し,細胞の認識という機能にとって欠かせない成分である(本特集の飯田論文を参照のこと)。
赤血球膜のリン脂質は,ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルエタノールアミン(PE),ボスファチジルセリン(PS),スフィンゴミエリン(Sph)などで,その存在量は図1に示すようである。頭部極性基にコリン基をもつPCとSphを加えると,全体の約半分(54%)になる。図1には,他の哺乳動物の赤血球膜についての分析値も示されているが,どの場合でもPCとSphを加え合わすと全体の約半分になっている。牛,羊,山羊のように,PCがほとんど零のものについても成立っているのは興味深い1)。
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