icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻3号

1980年06月発行

文献概要

実験講座

卵細胞における内部灌流実験法

著者: 吉井光信1

所属機関: 1日本医科大学第2生理学教室

ページ範囲:P.250 - P.255

文献購入ページに移動
 はじめに
 1961年にTasakiとHodgkinの両グループによってそれぞれ独自に開発されたイカ巨大神経軸索における内部灌流法(internal perfusion technique)1,2)は,膜冠位固定法との組み合わせにより,神経細胞膜の電気的興奮現象に対して多くの優れた洞察を与えてきた3〜5)。内部灌流の目的は,細胞内のイオン環境をコントロールすることにより,細胞膜をより単純なシステムとして物理化学的解析に都合よくすることにある。しかし,細胞内容物をとりのぞかなければならないために,イカやその他の一部の巨大神経軸索6)にしかこの手法は適用されていなかった。
 ところが5年ほど前より,小さい神経細胞体の内部灌流をめざす努力がなされている。これらの細胞では,巨大軸索のように細胞内容物を簡単にとりのぞくことはできないので,細胞膜の一部を破り,そこより内部灌流液を浸透させるという方法をとっている。よって,正しくは"細胞内透析法(intracellular dialysis technique)"と呼ばれるべきであるが,目標はあくまでも細胞内を灌流することにあるので,単に"細胞内灌流法"と呼ばれている。最初の細胞内透析は,Kostyukらによりカタツムリの神経節細胞で試みられた7,8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?