icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻4号

1980年08月発行

文献概要

解説

視細胞電位の最近の進歩

著者: 斉藤建彦1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第1生理学教室

ページ範囲:P.312 - P.323

文献購入ページに移動
 脊椎動物の網膜には杆体と錐体という2種類の光受容器がある。杆体と錐体はそれぞれ外節と内節および内節に続く脚部と終末部より構成されている(図1)。杆体の外節は円筒状をしており,そのなかに二重膜円板(ディスク)が数百枚重なって浮いている。錐体は一般に外節が円錐形をしていて,ディスクの一方は細胞膜と接し外節の外側に開いている。それぞれの外節には性質の異なる視物質が存在していて杆体視物質および錐体視物質とよばれ,杆体視物質は薄明視に,錐体視物質は昼間視に関係している。
 視細胞の機能は光のエネルギーを視物質で吸収することから始まり,一連の光化学反応を経て細胞膜の電気信号に変換し,2次ニューロンへその情報を伝達することである。視細胞の光化学反応については他の総説95)にゆづることにし,ここでは視細胞の電気信号(視細胞電位)の性質とそのイオン機構を中心に最近10年間の研究の進歩を追ってみることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?