icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻4号

1980年08月発行

文献概要

実験講座

動物タンパク質の無細胞合成系

著者: 森正敬1 三浦恵1

所属機関: 1千葉大学医学部生化学第2教室

ページ範囲:P.343 - P.350

文献購入ページに移動
 mRNAを加えてタンパク質を合成する無細胞タンパク合成系(cell-free or in vitro proreir synthesis)は最初はタンパク合成の分子機構を研究する目的で開発された。しかし最近では,特定のタンパク質のmRNA準位の測定やmRNAの精製に不可欠の方法となっている。さらに,タンパク質の細胞外分泌機構や細胞内における局在化機構の解析に威力を発揮している。筆者らは尿素排出型動物の肝ミトコンドリアに局在する2つの尿素サイクル酵素──カルバミルリン酸合成酵素I(CPS,EC 6.3.4.16)とオルニチントランスカルバミラーゼ(OTCEC 2.1.3.3)──のミトコンドリア局在化機構を解明する手段として無細胞タンパク合成系を用いている1,2)。CPS(サブユニット分子量160,000)2a)とOTC(36,000)2b)は共に肝ミトコンドリアのマトリックスに局在するが,その情報は核DNAにコードされ,細胞質リボソーム系で合成された後ミトコンドリア膜を通過してミトコンドリア内部へ輸送されねばならない。CPSとOTCのmRNAを無細胞タンパク合成系で翻訳させたところ,両酵素共にmatureサブユニットより分子量の少し大きい前駆体の形で合成されることをつきとめた1,2)。現在,前駆体のプロセシングとミトコンドリア膜輸送機構の研究を進めている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?