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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻5号

1980年10月発行

文献概要

特集 カルシウムイオン受容タンパク 総説

アクチノゲリンとゲルゾリン—哺乳類の非筋肉細胞に存在するマイクロフィラメントの構造形成のCa2+制御因子

著者: 三村直稔1 浅野朗1

所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所

ページ範囲:P.395 - P.400

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 アクチンは,非筋肉細胞では多様な存在状態をとっていることが知られている。例えば,アクチンが重合してできたマイクロフィラメント(以後mf)は,1本ずつ別々に存在することもあれば,何十本も集まってstressfiberを作ったり,細胞のある領域に集中したりする。またフィラメント自体が,オリゴマーやモノマーにまで,可逆的に分解することもいろいろな状況証拠から言われている。つまり,非筋肉細胞には,筋肉細胞にみられるような特定の収縮構造が,定常的に存在するのではなく,mfが細胞の状態や周囲の環境を反映して,常にその形を変える動的構造体として存在しているのである。mfが細胞運動以外にも,分泌,cap形成,形態保持など変化に富んだ機能を発現できるのも,アクチンが様々な状態で存在し得るからに他ならない。
 このようなmfの構造形成のダイナミズムが,何によって制御されているかを明らかにすることは,細胞運動やmfの関与した細胞機能を理解する上で欠かせない問題であろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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