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解説
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この20年間,"電圧固定法"(voltage clamp technique)が心筋に応用され,心筋細胞膜に流れるイオン電流には2つの内向き電流と4〜5つの外向き電流が存在することが示され,活動電位の発生機序に関し多くの知見が得られた。なかでも,内向き電流の1つであるslow inward current(SICと略す)は,主にCa++で運ばれ,心筋活動電位に特有なプラトー相を形成する重要な電流であり,さらに収縮張力や不整脈発生にも関連していることなどから関心がひかれるようになった。
しかし,"電圧固定法"は技術的にも困難な方法であり,心筋の構造上の特徴から実験標本によっては膜電位の空間制御(space clamp)をしにくいこと,他のイオン電流との重複などの影響もあり,SICの分析については,定性的な性質はともかく,定量的な解析は必ずしも一致した見解の得られていない点もみられる。そこで,我々は心筋のSICに関するいくつかの問題点について記述してみた。
しかし,"電圧固定法"は技術的にも困難な方法であり,心筋の構造上の特徴から実験標本によっては膜電位の空間制御(space clamp)をしにくいこと,他のイオン電流との重複などの影響もあり,SICの分析については,定性的な性質はともかく,定量的な解析は必ずしも一致した見解の得られていない点もみられる。そこで,我々は心筋のSICに関するいくつかの問題点について記述してみた。
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