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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻5号

1980年10月発行

文献概要

論壇

脊椎動物網膜論:第1部

著者: 中研一1

所属機関: 1基礎生物学研究所

ページ範囲:P.422 - P.435

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 まえがき
 脊椎動物網膜は独立した,そして複雑な神経回路網で種々の形態機能の異なった細胞が組み合わされて,構成されている。網膜からの最初の電気反応(ERG,網膜電図)は,Frithiof Holmgrenにより,1865年に記録されている。それ以来100年以上にわたってその重要性から多くの傑出した研究者──Adrian卿,Granit, Hartline,Wald,冨田,Rushton,そして最近は,Hodgkinらが網膜を研究してきた。網膜はその入力(光刺激)と出力(視神経繊維によって中枢に運ばれるスパイクの時系列)が,はっきり規定された独立した神経回路網であり,その機能を遊離して研究することが出来る。網膜の研究は,光量子をとらえる機序から,網膜内細胞のイオン機構,伝達物質の同定など多岐にわたるが,網膜内部での感覚情報処理機構を解析することが,この十数年間の著者の興味の中心であった。
 網膜のような複雑な神経系の研究の第1歩は,その系に含まれる素子(神経細胞)を形態上から分類することである。最も古典的で,今日まで用いられている網膜神経細胞の分類方式は,Ramón y Cajalにより,前世紀末に確立された。彼は多くの動物の網膜細胞をGolgiの鍍銀法により"染色"し,光学顕微鏡を用いて,比較解剖学的に研究し,網膜内の細胞を受容器,双極細胞,水平細胞,アマクリン細胞,および神経節細胞の5種に大別した7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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