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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻5号

1980年10月発行

文献概要

実験講座

二次元電気泳動像の電子計算機による解析

著者: 伊藤迪夫1

所属機関: 1(株)日立製作所中央研究所

ページ範囲:P.443 - P.447

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 一次元目をポリアクリルアミドゲル(PAG)を用いる等電点電気泳動,二次元目をPAGを用いる分子量分別電気泳動とする高分解能二次元電気泳動法1,2)は複雑な組成の蛋白質混合物の多成分同時分析に適している。特に,血液など体液中の蛋白質の多成分同時分析は臨床応用上重要なので筆者は興味を持っている。
 二次元泳動法によって分離された蛋白質のスポットをコーマッシーブルーなどの染料で染色して得られる泳動像は一種の画像であり,これを計量的,定量的に扱うには電子計算機利用による画像処理工学的手法の導入が望まれる。さらに,本二次元泳動法は分離能が高いので分離スポット中の蛋白質は純粋であり,分離スポット毎に蛋白質を電算機により定量するのは有意義であろう。事実,1978年頃から二次元泳動像の電算機による計測法に関する論文が現れ始めた。これらの論文は主として変性剤を用いる泳動法(O'Farrell法1))によって分離した微生物3〜5),神経系細胞6〜8)中のペプチドのオートラジオグラムフィルムの分析法,分析結果を記しており,血液蛋白を変性剤を用いないで泳動分離2)して得られる染色二次元PAGそのもの(ペプチドマップではなく蛋白分子マップ)を直接電算機により分析するアブローチは筆者ら9)によって始められたものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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