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文献詳細

雑誌文献

生体の科学31巻6号

1980年12月発行

文献概要

特集 大脳の機能局在 総説

大脳皮質運動野の最近の知見

著者: 篠田義一1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1生理学教室

ページ範囲:P.482 - P.495

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 19世紀後半,大脳が精神活動の座であって,大脳皮質はどこも等価であり全体として機能するとするholist,universalizerの主張が一般に信じられていたが,焦点性テンカンと脳障害患者の臨床観察をもとに,H. Jackson(1931-32)は大脳に運動に関与する部分が局在することを推論した。時を同じくしてFritsch and Hitzig(1870)は,イヌの大脳皮質の前部を局所的に電気刺激すると対側の限られた身体部位の筋肉群の収縮が起こること,およびその皮質領域の破壊によって対応する部位の運動が障害されることを示し,大脳皮質に機能局在があることを実験的に証明した。このように大脳皮質運動野の研究の歴史は古く,その後も随意運動の発現機構とその中で運動野がどのような役割を果たすかという問題は,中枢神経生理学の中で最も興味あるテーマの1つとしてとりあげられ,これまでなされた研究は膨大な数に及ぶ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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