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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻1号

1981年02月発行

文献概要

特集 細胞骨格 総説

10nmフィラメント

著者: 黒川正則1

所属機関: 1東京大学医学部付属脳研究施設,脳生化学

ページ範囲:P.19 - P.24

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 真核細胞には10nmフィラメントと総称される外径7〜11nmのフィラメントが存在する。その径がミクロフィラメント(5〜6nm)と微小管(25nm)の中間にあることから,中間フィラメントintermediate filaments(IF)とよばれる場合も多い。
 10nmフィラメントははじめ培養骨格筋細胞において,アクチン・フィラメントとミオシン・フィラメント(15nm)の中間の径を示す,あたらしい型のフィラメント(intermediate-sized filaments)として記述された32,33)。その後,各種の細胞においてこのクラスのフィラメントが識別され21,23,38),細胞の骨格,運動,分化をめぐるさまざまの角度から注目されている。微小管(チューブリン)やミクロフィラメント(アクチン)とは対照的に,10nmフィラメントの蛋白種は細胞の起源によって多様である。すなわち抗原性または電気泳動上のちがいによってニューロフィラメント蛋白(神経細胞),グリア繊維酸性蛋白(星状膠細胞),ケラチン(上皮性の細胞),デスミン(筋細胞),ヴィメンチン(間葉性の細胞)などが区別されている。いく種類かの細胞では免疫螢光法によってヴィメンチンとデスミン,あるいはヴィメンチンとケラチンの共存がみとめられる。これらの蛋白の化学的な性質,あたらしい蛋白種がみいだされる可能性,細胞分化との対応などについて,今後の研究に待たれる面が多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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