icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻1号

1981年02月発行

文献概要

特集 細胞骨格 総説

細胞骨格とコネクチン

著者: 丸山工作1

所属機関: 1千葉大学理学部生物学教室

ページ範囲:P.25 - P.29

文献購入ページに移動
 Ⅰ.コネクチンとは何か?
 100年も前から,生理学者は,筋肉には収縮性要素のほかに弾性要素があるものと仮定していた。収縮性要素については,1940年代にアクチン,ミオシン系が確立し,ついで,滑り説が1954年に提出された。
 弾性要素に関しては,筋細胞をおおっているコラーゲン膜の関与が一時いわれたが,長い間無視されていた。1954年,慈恵医大の名取は,彼の手になる細胞膜をはがしたNatori's skinned fiberを用いて,弾性構造の存在することを実証した1)。すなわち,skinned fiberを引っぱると,張力を発生し,放せばもとに戻ってゆく。滑り説の基礎となっている筋原線維の構造では,重なり合いが消失するまで引っぱったのでは,もとに戻ることを説明できない(図1A)。何かとなりあうZ線間をつなぐ弾性構造が存在するはずというのが名取の指摘で,彼は,"内部弾性膜"とよんだ。また,単離した筋原線維から,ミオシンやアクチンを抽出しても,Z線は,ばらばらになることはない。すなわち,何かでとなりあうZ線は連結されている(図1B)。このことは,HuxleyとHansonによって1954年に言及されていた2)。しかし,彼らは,1955年以後,Z線をつなぐ構造については一言もふれようとはしなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら