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特集 細胞骨格 総説
膜骨格としての裏打ち構造
著者: 石川春律1
所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室
ページ範囲:P.36 - P.41
文献購入ページに移動細胞を構成する膜は多様に機能分化しており,これに相関して,形態の分化も認められる。異なる膜相互は認識され,別個の区分をなし,自由に融合や連続することはない。中でも,細胞を周囲環境から境する形質膜(細胞膜)は極めて多様な形態分化を示す。形質膜は細胞の種類により,また,連続した同じ形質膜でありながら,部位により,機能や形態が異なる。このような形質膜の形態,とくに局所分化がいかに保持されているかは非常に興味ある問題である。この疑問に対しては,流動性の膜自体を周囲から構造的に支持する仕組みを想定することで一応は説明できる。そのような仕組みを漠然と膜骨格(membrane cytoskeleton)と呼ぶとすれば,このカテゴリーに含められる構造は多岐に亘る。
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