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文献詳細

雑誌文献

生体の科学32巻1号

1981年02月発行

文献概要

特集 細胞骨格 総説

膜骨格としての裏打ち構造

著者: 石川春律1

所属機関: 1東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.36 - P.41

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 生体膜のモデルとして,現在,流動モザイクモデルが広く受け入れられている。膜は基本的には脂質2分子層からなる二次元の流動体であり,これに蛋白質がモザイク状に組み込まれていると考える1)。この膜モデルは,電子顕微鏡で見える膜の微細形態のみならず,いろいろな膜現象をよく説明する。膜の特性として,膜は容易に形を変え,分離や融合を起こし,膜内蛋白質は比較的自由に側方移動することができる。では,実際の生体膜でこれら特性が無制限に麦現されているであろうか。
 細胞を構成する膜は多様に機能分化しており,これに相関して,形態の分化も認められる。異なる膜相互は認識され,別個の区分をなし,自由に融合や連続することはない。中でも,細胞を周囲環境から境する形質膜(細胞膜)は極めて多様な形態分化を示す。形質膜は細胞の種類により,また,連続した同じ形質膜でありながら,部位により,機能や形態が異なる。このような形質膜の形態,とくに局所分化がいかに保持されているかは非常に興味ある問題である。この疑問に対しては,流動性の膜自体を周囲から構造的に支持する仕組みを想定することで一応は説明できる。そのような仕組みを漠然と膜骨格(membrane cytoskeleton)と呼ぶとすれば,このカテゴリーに含められる構造は多岐に亘る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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